手術手技:取る(摘出)


体の中のものを取り出す操作を「摘出」といいます。形成外科、手外科の分野では皮下、軟部組織、そして骨内の腫瘍を摘出します。

皮下の腫瘍として多いのは、粉瘤と言われる袋状になった上皮に、垢のようなものが詰まった腫瘍で、時に感染を起こすことがあります。また、石灰化上皮腫と呼ばれる腫瘍は、粉瘤に比べるとやや堅く石灰の沈着が見られます。

この他によく見られるものとしては、手首や指の関節の周囲に多く見られるガングリオンというものがあります。これは関節を包む関節包という部分から発生していることが多く、袋状の構造物にヌルヌルとした黄色みがかった液体を含みます。

腱巨細胞腫は指の皮下に見られることが多く、表面から見るとやや不正形をして、やや弾力があり比較的柔らかい腫瘍です。また、骨の内部に出来るものとしては内軟骨腫があり、偶然の骨折などで発見されることがあります。

今まで見てきた腫瘍はいずれも比較的ポピュラーな良性腫瘍であり、このほかにも多くの腫瘍があります。さらに悪性の腫瘍も多くあり、良性腫瘍と鑑別がつかないことも珍しくありません。ですから摘出にあたっては、予めおよその診断をつけておくとともに、診断と異なる不測の事態にも対応できるようにすることが重要です。さらに悪性腫瘍の可能性も念頭に置きながら手術を行う必要があります。