手術手技:貼る

「貼る」という操作は、皮膚移植の時に限られるかも知れません。皮膚移植とは外傷などで皮膚が無くなってしまった場所に、他の部位から薄い皮膚を採取しそれを貼り付けて移植することを指し、植皮とも呼ばれます。皮膚の悪性腫瘍摘出後の大きな欠損や、やけどのキズの治療に植皮が多用されます。この場合、ただ貼り付けても移植はうまく行きません。移植皮膚をきちっと縫い、ずれないようにする工夫が最も重要になってきます。

皮膚移植(植皮)

皮膚の欠損部に体の別の場所から皮膚を取ってきて移植することを言い、一般に植皮と言われます。植皮には二種類の方法があり、一つは皮膚を脂肪層の直上まで全て採取して欠損部に移植する方法であり、「全層植皮」と呼ばれます。この場合皮膚の採取は紡錘形に行い、採取した部分は縫い寄せて一本のキズにします。ですから、採取できる皮膚の大きさは縫い寄せることが出来る幅、と制限があります。

その皮膚採取を行う場所として一般的なのは鼠径部と呼ばれる足の付け根部分で、縫い寄せやすいことと、キズが隠れやすいため多用されます。全層植皮の利点としては、皮膚を厚く採取しているため「分層植皮」に比べて術後の拘縮と呼ばれる収縮や、色素沈着が少なく質感がよいことがあげられます。

一方、皮膚を薄く採取して移植する場合は「分層植皮」と呼ばれ、背中や、大腿部、臀部などから採取されます。薄く採取された場所はおよそ2週間で皮膚が再生してきます。これは主に皮膚の欠損の面積が広い場所に適用されることが多く、広範囲の熱傷などに用いられます。