デュプイトラン拘縮(3)

デュプイトラン拘縮の手術の実際についてご説明いたします。手術術式についてはいくつかの方法がありますが、今回は当院で行っている方法についてご説明いたします。

肥厚した手掌腱膜の切除

デュプイトラン拘縮の手術肥厚した手掌腱膜を切除するために、肥厚した部分の直上の皮膚を直線に切開し、直下の肥厚した手掌腱膜を露出します。その時、特に指の皮下に拘縮した腱膜がある場合は、近くの神経や血管を傷つけないように細心の注意を払う必要があります。
このようにして腱膜の表面を全長にわたり剥離露出した後に、今度は手掌腱膜の下の層を剥離しながら肥厚した腱膜を一塊に切除します。このときもまた神経や血管を傷つけないように注意します。

切除後の創閉鎖

肥厚した手掌腱膜の切除が終わったらキズを縫います。もし、切ったキズをそのまま縫合すると、瘢痕拘縮によってキズの収縮が起こり、元と同じような状態になってしまいます。そこで用いられる方法がZ形成術と呼ばれる特殊な方法です。
これは切除後のキズの両サイドに切り込みを入れ、両サイドの皮膚をジグザグに入れ替えて縫合することにより、キズはジグザグになり、拘縮が予防されます。
さらに、肥厚腱膜切除後のキズが大きい場合は、皮弁形成術を行います。この場合一般的には小指側のゆとりのある皮膚を弁状に挙上して、キズに移動させてふさぎます。

術後の経過

デュプイトラン拘縮の手術術後は手の平から指にかけて、ジグザグのキズが生じます。そのキズは、細い糸で何針も縫合しております。抜糸は1週間から2週間で行います。
キズの話しのところでもお話ししましたが、抜糸後傷跡はだんだん固くなってゆきます。

 

その固さを再発と誤解なさらないでください。時間がたつに従って柔らかくなって参ります。
半年もしますとずいぶん柔らかくなり、術後1年たちますとほぼ普通の皮膚と同じ感じになって参ります。
このように、治療がとりあえずの完成に至るまでには時間が必要ですが、気長に構えることが必要のようです。

IMG_5061 デュプイトラン拘縮の手術 デュプイトラン拘縮の手術


今日の一枚


15.5.14