粉瘤について(1)

粉瘤はアテロームともいい、皮膚に出来る良性腫瘍の中でも、とてもポピュラーなもので、皮膚のドーム状の盛り上りとして触知されます。さらによく見てみると、ドーム状の盛り上がりの頂点には小さな点状のくぼみが見られることがあります。

粉瘤をつまんでみますと腫瘍の底部は良く動きますが、腫瘍の上部は皮膚に癒着しているため、あまり動きません。固さはそれほどではなく、やや柔らかめと言えるかもしれません。このように腫瘍をつまんだりさすったりしていると先端の点から悪臭のする汁がしみ出してくることがあり、これが気になるので何とかしてほしいというご希望の方も多いようです。

表皮アテロームとはどうなっているの?

粉瘤は別名「表皮嚢腫」とも呼ばれています。表皮というのは皮膚の外側にある器官で、表皮細胞が煉瓦のように積み重なって出来ています。そこでは、盛んに新陳代謝が行われ、古くなった表皮細胞は最後には垢となって捨てられます。

 粉瘤一方、嚢腫というのは袋のことを指します。そして、先ほどのくぼみはちょうど袋の口に相当します。つまり、「表皮嚢腫」とは簡単に言えば表皮細胞で出来た袋状の腫瘍です。そして、先ほどの表皮細胞で出来ているために新陳代謝によって垢が生じます。この垢が袋の内側にたまることによって、腫瘍はだんだんと大きくなって参ります。

感染性粉瘤

この粉瘤に細菌感染が起こった状態が、感染性粉瘤と言われるものです。赤くはれ上がって痛みを伴います。皆さんよく「おできが出来た」と仰って来院されることが多いようです。
この、赤くなり方には程度があります。最初のうちは何となく赤みを帯び、今まで痛くもかゆくもなかった粉瘤に痛みを覚えます。
その後、炎症が進みますと真っ赤にはれ上がり強い痛みを伴うようになります。

感染性粉瘤の治療

症状が軽い場合は、抗生物質の内服で対処します。これだけで炎症が消退することもあります。一方、症状が重い場合や抗生物質でも炎症が進行してしまった場合は「切開排膿」と言って、腫れた部分にメスを入れて中の膿を出す必要があります。膿を出してしまうと症状は急速に落ち着きますが、数日間は膿や浸出液の排泄がありますのでガーゼ交換が必要です。

当院ではこの期間、クリニックにご来院いただけない日は、自宅での処置をお願いしています。

自宅での処置

当ててあるガーゼを剥がしたあと、シャワー等でのキズを軽く洗浄してください。洗浄後に抗生物質入りのクリームを切開部に塗り、ガーゼを当て、絆創膏で押さえます。
このような処置を繰り返していますと、1,2週間でキズがふさがり治ります。

ただし、これで粉瘤が無くなったわけではありません。それにつきましては次回解説します。



今日の一枚


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