こんなケガでお悩みならば

手のケガについて

手の機能というのは極めて微妙な動的バランスの上に成り立っていますので、いったんどこかがケガをしたまま適切な治療を行われないと、そのケガの部分だけでなく離れた場所まで悪い影響が及ぶことがあります。

また手は常に動いているものです。この動いている、あるいは動かすということ自体が関節や腱などの滑動する組織にとっては重要なことです。ですから、たとえばケガなどで手を動かさなくなってしまうと、いわゆる「錆び付いてしまう」状態が起こってしまうことになります。

さらに、ケガをすると多かれ少なかれ「腫れ」が起こります。この「腫れる」という状態は、組織に水分貯まってしまった事を意味します。簡単に言いますと体の中の水分はタンパク質を含んだ塩水として存在しています。もし組織に貯まった水が、ただの塩水ならば腫れが引くとその塩水も吸収されてゆきます。問題はタンパクの成分にあります。腫れた状態でいつまで放っておくことはこのタンパク質が組織のレベルで残ってしまうことを意味します。厚い手袋をつけると指の曲がりが制限されますが、タンパク質によるハレの残存はこの厚い手袋をつけたのと同じような効果をもたらし、結果として関節の動きが悪くなってしまいます。

このように、ケガは手の機能に複合的な悪影響を及ぼします。そこで、ケガの治療を行うためにはいわゆる「木を見て森を見ない」式の治療法ではなく、多角的かつ総合的なアプローチが必要になります。

手のケガの治療

ケガの治療に最適なのは受傷後早い時期だと考えられます。特に、血管損傷によって血流が途絶している場合や、関節の脱臼などは緊急を要するケガであると言えましょう。逆に、汚染が著しいケガなどは場合によっては細菌感染の影響が無いことを確認してから本格的な治療を行う事もあります。また状況によっては、受傷直後には応急処置にとどめておき、落ち着いてから治療を行う事も有り得ます。

一方、ケガをしてそれなりの治療を受けてから半年あるいは1年以上経過してしまったものは症状が固定化してしまい、治療の余地が無くなってしまうことも珍しくありません。特に手の「動き」に関しては時間がたつと治療が不可能になってしまうことも珍しくありません。

ですから、ケガの場合は出来るだけ早くご相談いただけることが重要かと存じます。治療の余地があり、患者さんのライフ・スタイルを考慮しても治療すべき価値があると判断した場合は、積極的治療についてご説明いたします。
反対に、もし治療が不可能、あるいは改善の余地がないと診断した場合は、極めて早い段階で、忌憚なく申し上げます。