光線療法とは
光線療法とは簡単に言いますと紫外線による治療法です。現在紫外線による治療法で主流をなすのはナローバンドUBVと呼ばれる照射装置を用いたものと、エキシマライトと呼ばれる照射装置を用いたものが主流で、当院ではナローバンドUBV照射装置を用いて治療を行っております。
紫外線は近紫外線と遠紫外線に分類され、さらに近紫外線はさらに UVA (400–315 nm)、UVB(315~280nm)、UVC (280 nm 未満)に分けられています。ナローバンドUBV照射装置はこのUVBの中でも特に311±2 nmの波長の光のみを発生します。
短期の副作用としては、皮膚の発赤、色素沈着等があり、長期の副作用としては皮膚の老化や発がん性が可能性として考えられますが、臨床上問題になってはいません。
適応となる疾患としては、尋常性乾癬、アトピー性皮膚炎、尋常性白斑、掌蹠膿疱症、類乾癬、痒疹などがあります。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎治療の基本は、保湿によるスキンケアを行いながら、皮膚炎に対しては適切なステロイド療法を行い、同時に抗アレルギー剤の内服を行うことが一般的な治療法と考えられます。一方、光線療法も過剰な免疫反応による炎症を抑える効果があるため有効性が認められています。
尋常性乾癬
全身に白いカサブタを伴った赤い斑点が生じます。この斑点の大きさは小さいものから大きいものまで様々で、膝頭や肘は好発部位です。白いカサブタをこするとボロボロとはげ落ち最後には小出血点を生じます。痒みを伴うことは多くありません。治療はステロイド剤と活性型ビタミンD3軟膏の外用が一般的です。また光線療法が有効です。
掌蹠膿疱症
手掌や足底に水疱がたくさん出来ます。水疱の一つ一つの内容物は白色をしていることが多く、膿疱とよばれます。このような膿疱が手のひらや足の土踏まずの赤みを帯びたバックグラウンドに生ずることが特徴です。原因としては扁桃炎や虫歯やその治療のための合金の詰め物、さらには喫煙などがいわれていますが本当のところはわかっておりません。その治療法は先述した原因がある場合はその原因除去を行います。外用療法は尋常性乾癬と共通であり、また光線療法が有効です。
異汗性湿疹
主に手のひらに小さい水疱が多数生じます。その大きさは針の頭程度のものからもう少し大きいものまであります。手のひらに出来た小さいものは盛り上がらず、皮膚の中の透明な斑点のように見えます。痒みを伴うことが多く、水疱は次第に剥けて赤く皮が剥がれたようになります。手湿疹の一種とも考えられており、原因としては金属アレルギーや多汗症、さらにはストレスなどが考えられていますが、詳細はわかっていません。
ステロイド治療により一旦は改善しますが再発することが多く、難治性であることが多いようです。光線治療が有効です。
尋常性白班
皮膚の色素の脱失により、白くなった部分が体の色々な場所に生じます。これは皮膚のメラノサイトとよばれる黒い色を作る細胞が破壊されることによって起こり、その原因は自己免疫によると考えられています。分節型と汎発型があり、分節型は体の片方に神経支配領域に一致して生じ、汎発型は文字通り体の色々な場所に生じます。色が抜ける以外の症状はありませんが、場所によってはかなり目立つため治療の対象となります。光線療法が有効です。
結節性痒疹
主に腕や足に出来ることが多く、痒みが強いため、掻き壊して表面から出血し、治りかけにはかさぶたが出来、次第に褐色で堅いカタマリとして多発します。治療法はやはりステロイド外用によることが多く、時にはテープ上のステロイド剤を用いることもありますが難治性です。光線療法が有効です。
円形脱毛症
有名な疾患ですので知らない方はいらっしゃらないと思います。ステロイドの外用と光線療法が有効です。