皮膚科
アレルギー性接触性皮膚炎
アレルギーを起こす物質によって感作された後、再びその物質に接触した後の約48時間をピークに起こるとされています。この絵は唇のリップクリームによる接触性皮膚炎を表しており、その他に金属や白髪染等いろいろなものでも起こります。治療はステロイド軟膏を部位あるいは程度に応じて使い分けます。
刺激性接触性皮膚炎
接触する物質自体の毒性によって表皮の細胞が障害されて起こる皮膚炎です。毒性物質に始めて触れた場合でも、その刺激の程度によって誰にでも起こる事がアレルギー性接触性皮膚炎とは異なります。
貨幣状湿疹
原因はよくわかっておらず、若い人に好発しますが、年配の方にも見られます。読んで字のごとくコインのような丸い病変が四肢、特に下腿前面や体幹に生じます。多くの場合、掻痒感が強く、治療にも強いステロイド軟膏や抗ヒスタミン薬を使います。光線治療が有効です。
ビダール苔癬
湿疹が慢性に経過することによって皮膚のきめが粗くやや盛り上がったような状態になり、強い痒みがあります。首の後ろに出来る事が多く、衣服やアクセサリーが原因になる場合が多いようです。治療はステロイド軟膏の外用と、抗ヒスタミン薬の内服を行います。
脂漏性皮膚炎
乳児、思春期、壮年期に多いと言われます。皮脂の分泌の多い部分に発症し、皮膚の常在真菌であるマラセチアが症状悪化の原因であると言われています。乳児では生後2週ほどしてから、毛の生えた部分やおでこに、黄色味がかったカサブタのようなものが付着します。これは丁寧なケアによって一年以内に軽快します。思春期以降や大人の場合は、フケの増加や髪の生え際、鼻の横の頬などが赤くなります。治療は皮膚の清潔を保ち、抗真菌薬の入ったシャンプーを使います。外用薬は抗真菌薬やステロイド軟膏、ローションですが、慢性化して治りにくい疾患の代表でもあります。光線療法の効果が認められています。
皮脂欠乏性皮膚炎
皮膚は角層の脂質によって守られています。その脂質が欠乏すると皮膚のバリヤー機能が失われ、外来の異物に直接さらされる結果、皮膚に炎症が起こり、痒みが生じ、そこを掻き、また炎症が起こるという悪循環を繰り返します。根本的な治療は保湿剤によるスキンケアであり、炎症がひどくなった場合は、ステロイドの外用剤を使います。
異汗性湿疹
手のひらや足の裏に水疱が多発して一見水虫に似る疾患があります。この水疱は最終的にはなくなって後には丸いカサブタのようなものが残ります。これを異汗症と言います。異汗症自体には症状はないのですが、場合によっては炎症を起こして痒みを生じる事があり、そのような場合を異汗性湿疹と言います。治療はステロイド軟膏の外用によります。
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ストロフルス
主に子供に、虫さされの多い時期によく見られます。最初は蚊に刺されたようなふくらみですが、次第に根を持った小さなできものになり、激しい掻痒感を伴います。抗ヒスタミン薬の内服や、比較的強いステロイド剤の外用を行います。
結節性痒疹
激しい痒みを伴う慢性痒疹の一つで、アズキから大豆程度の大きさで、暗赤色から褐色の固まりが散在します。強力なステロイド外用療法やテープ療法、注射、冷凍凝固、光線療法等が行われますが、難治性です。
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色素性痒疹
蕁麻疹に似た症状で始まり、痒みの強い発疹が反復して生じ最終的に網目状の色素沈着が残ります。思春期の女子に多いとされ、ダイエットとの関係も言われていますが原因は不明です。内服薬で治療します。
蕁麻疹(じんましん)
知らない人がいないほど有名な病気です。Ⅰ型アレルギーと言うメカニズムで発症しますが、個々の症例で原因を特定する事は容易ではありません。治療は抗アレルギー薬の内服によって行いますが、長期的に服用する必要がある事も稀ではありません。なお、急性の蕁麻疹で重症のものはアナフィラキシーショックとよばれる救急処置を要する疾患を起こす可能性がある事を念頭に置く必要があります。
単純性紫斑
主に下肢に小さな紫色のしこりのない斑点(紫斑)がたくさん出来、それらの斑点を押してみても消えません。血液検査によって、血液の凝固系の問題でない事を確認する必要があります。若い女性に多いといわれ、紫斑のほかには症状はなく、原因ははっきりしません。場合によっては色素沈着を残しますが、数週間で治る事が多く、予後のよい疾患です。
アナフィラクトイド紫斑
同じく紫斑を生じる病気ですが、こちらの紫斑はしこりを触れる事が多く、くっ付いて大きくなる事もあります。全身的にも、発熱や腹痛、関節痛などが起こり、腎臓病を併発する事もあります。
蕁麻疹様血管炎
蕁麻疹にみられるミミズ腫のような発疹が24時間以上続く場合は疑う必要があります。普通の蕁麻疹と違って、皮膚の細かい血管の炎症を伴っています。30代くらいの女性に多いといわれ、膠原病などが原因の事もあれば、全くわからない事もあります。
多形滲出性紅斑
親指の頭ぐらいで、輪郭が二重で丸く的のように見える赤い発疹で、いろいろな場所に生じます。軽症例は春から夏にかけて、若い女性にみられる事が多く、手の甲や下腿に発疹がみられ、多少の痒みはあるものの発熱等は認められません。一方、重傷例では発疹が全身に多発し、発熱を伴います。さらに重傷化すると、スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死(TEN)となり、生命を脅かします。この場合は速やかに入院施設のある総合病院を緊急受診する必要があります。
結節性紅斑
女性にみられる事が多く、下腿に押すと痛みのあるやや盛り上がった赤い腫れが生じます。発熱やだるさなどの全身症状を伴う事が多いと言われています。通常は足を高めにした安静を心がける事で、1ヶ月以内に治りますが、なんらかの基礎疾患がある場合や、症状が強い時は相応の治療が必要になります。
尋常性乾癬
全身に散在性に赤い斑が生じ、その表面は白いカサカサした垢の様なもので覆われ、こするとポロポロとはがれ落ちます。従来欧米人では多く日本人では少ない疾患でしたが、現在では増加傾向に有ります。発症は青年期から中年期に多いと言われる一方、子供の発症もあります。中年の場合はメタボリックシンドロームと関連性も取りざたされています。その治療は簡単ではありません。治療の目的はいかに病勢をコントロールするかという点になります。外用療法としては、強めのステロイド軟膏や活性化ビタミンD3軟膏があります。また、光線療法が奏功する場合もあります。内服ではレチノイドがあり、さらに免疫抑制剤による治療も行われていますが、これは総合病院での治療になります。当クリニックでは、主に軟膏療法と光線療法を行っております。
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爪乾癬
爪の表面のスジ状の変形やそれに伴う先端の欠けなどで始まり、次第に爪全体に変形が及びます。乾癬と呼ばれる皮膚の疾患が爪に生じたものです。扁平苔癬という病気でも似たような変形が生じます。
ジベルバラ色粃糠疹
赤みを帯び、細かい垢が付着したやや楕円形の発疹が、全身に左右対称的に見られる病気で多少の痒みを伴います。10〜30代に多く見られ、最初に比較的大きな発疹が出現しその後1週間ほどで、全身に多発します。普通は1〜3ヶ月ほどで自然に治癒します。治療は抗ヒスタミン薬の内服や、光線療法を行います。
掌蹠膿疱症
手の平や、足の裏に一見水虫に似た水疱や、膿疱(白から黄みがかった水疱)が多く出来、その部分の皮膚が赤くなります。膿疱はだんだんと乾いて茶色いカサブタになりはがれます。その頃にはまた新しく水疱や膿疱が出来繰り返されます。ステロイド軟膏や、ビタミンD3軟膏によって治療しますが、治療の難しい疾患で、歯の被せものによる金属アレルギー、あるいは扁桃腺の慢性的な感染が原因とも言われていますが、はっきりしたことはわかっていません。光線療法も、適応になります。
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扁平苔癬
関節部や陰部に、やや暗紫色で、扁平に盛り上がった多角形の発疹を生じ、痒みがあります。一方、口の中の頬部の粘膜側にも出来ますが、その場合は白っぽい筋上の病変が見て取れます。診断を確定するためには病変部の生検が推奨されます。原因ははっきりわかっておりませんが、薬との関係や、感染症との関係がいわれています。
ヘイリーヘイリー病
中年以降の方で、脇の下や股などの擦れやすいところに湿疹に似た病変が現れて、ジクジクし、治ったと見えてもまた反復し、思うように治らない場合、この病気を疑ってみる必要があるかもしれません。診断を確定するためには病変部の生検を行います。原因は遺伝子の変異と言われています。
天疱瘡
特に前触れもなく普通の皮膚に水ぶくれが生じます。この水疱はとても破れやすく、破れたところは皮が剥け赤くなる「びらん」状態となり、治りにくく痛みがあります。口の中の治りにくい「びらん」で初発する事が多いといわれています。確定診断は水疱の一部を切り取って病理検査を行う生検によります。皮膚の病気の中でも重症の病気であり、診断がつきましたら総合病院の皮膚科に御紹介いたします。
水疱性類天疱瘡
お年寄りに多くみられ、尋常性天疱瘡と似て体に水疱が生じる病気です。痒みを伴った赤みが出現し、その部分に水疱が出来ますが、天疱瘡と比べると水疱は丈夫で大型になります。やはり診断には皮膚の生検が必要です。こちらも診断がつきましたら総合病院にご紹介いたします。
尋常性白班
部分的に肌のメラニンがなくなる結果、そこだけ白く色が抜けたようになる疾患です。症状は脱色だけで痛みも痒みもありませんが、治療は難しい疾患です。当院ではnarrow band UVBの光線療法によって治療を行い、それなりの効果が認められますが、難治例では、エキシマライトと呼ばれる、より局所作用の強いUVBが望ましく、その場合は専門施設をご紹介いたします。
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体部白癬(タムシ)
俗にタムシといわれます。水虫の真菌が体の表皮の角層に感染して起ります。このほかに頭皮に感染すると頭白癬となります。治療は抗真菌薬の外用によります。
足白癬(水虫)
いわゆる水虫です。ただ同じ水虫といいましても、多少のバリエーションがあります。指と指の間がジュクジュクするもの。水疱が出来て、それが乾いて皮が剥けるもの、さらには足の皮が厚くなるものなどが代表的です。水虫はあまりにもポピュラーなため、診断も治療もいい加減になりがちですが、じつは湿疹であったり、湿疹を併発したり、時には二次的な最近感染を起こし蜂窩織炎といった状態になることもあり、用心が必要です。治療は抗真菌薬の外用が基本ですが、根気の良さも必要になります。足白癬が爪に感染すると爪白癬となり、この場合は内服治療が必要になります。
爪白癬(爪の水虫)
足白癬が爪に感染して起こります。一般に爪が白から黄色っぽく濁ることが特徴ですが、爪が厚く変形してくることも少なくありません。治療は抗真菌薬の長期の内服を基本としますが、治癒率は70~80%と言われています。
癜風
マラセチアというカビの一種によって起こります。皮膚に黒っぽい、あるいは白っぽい斑状のシミのようなものが散在し、擦ると細かい粉のような垢が落ちます。黒い場合も白い場合も元々の肌の色の違いによってそのように見えるだけです。治療は抗真菌薬を使います。
伝染性膿痂疹(とびひ)
トビヒです。トビヒとは文字どおり患部が別の場所に「飛び火」することによって名付けられました。小さいお子さんにみられることが多く、患部を触った手で別の場所を触ることによってうつります。原因は細菌の感染ですので、抗生物質の外用よって、場合によっては内服も併用して治療します。
単純性疱疹(ヘルペス)
ヘルペスです。唇や陰部などに出来ることが多く、前駆症状のあとに一斉に水疱が形成され、その後破れてジュクジュクします。ひりひりした痛みを伴い、一度治っても、疲れたときなどに再発することがあります。原因はウイルス感染で、早い段階で抗ウイルス薬を内服することをお勧めいたします。
ヘルペスひょう疽
ヘルペスウイルスが指に感染して起こります。口の中をいじる仕事に多いと言われています。抗ウイルス剤を使います。
尋常性疣贅
足の裏などに出来るとタコやウオノメと見分けがつかないことがあります。ただ、よく見るとウオノメと違って、できものの中心部に黒いポツポツが見えることがあり、一つの診断基準になります。これはウイルスの感染によって起こります。厳密にいいますといくつかの病型があり、多少違った表情を持っております。治療は液体窒素によって焼きますが、かなり根気が必要とされる場合があります。単発性で、かつ早く治したい方には電気メスで切り取ることもありますが、傷が完全に治るまでに多少時間がかかります。
伝染性軟属腫(水いぼ)
いわゆる「水イボ」です。長い目で見ますと自然治癒が期待できるのですが、プールの時期になりますとお子さんたちがお母さんに連れられて来院されます。治療は水イボ鉗子という特殊なピンセットでつまみ、イボの中身を摘み取ります。痛みを伴う治療なので、あらかじめ表面麻酔のテープを貼ってもらい(自費になります)1時間後に取るようにしています。それでも全く痛みがない訳ではありませんので、お子さんにとってはつらい治療かもしれません。
粉瘤(アテローム)
アテロームともいい良性腫瘍の典型でもあります。皮膚からやや盛り上がった出来物で、よく見るとそのてっぺんの近くに小さな穴があり、周りを押すと臭い内容物が出てきます。放っておくと細菌感染を起こして赤くなりうみが出ます。そうならないうちに切って取る事がおすすめです。
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ケラトアカントーマ
一見皮膚癌に似ますが、その実態は良性の腫瘍です。ただし診断のためには、腫瘍の生検が欠かせませんので、治療をかねて摘出します。
母斑細胞性母斑(ホクロ)
いわゆるホクロです。一口にホクロと言いましても大きさも場所も様々であり、中には一見ホクロに似た悪性の腫瘍もあります。そのため、真面目に治療を行おうとすれば、巷で喧伝されているように、「レーザー治療で一発」と言う訳にはいきません。当クリニックでは、形態的および時間経過的に100%良性のホクロであると言い切れるもの以外は、切除した後に病理検査を行う事を原則としております。またその切除につきましても傷跡を最小限にするために、必要に応じて手術用顕微鏡による拡大のもと行っております。
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脂漏性角化症(老人性のしみ)
加齢に伴って、主に顔面に褐色でやや盛り上がった大きさが5mm程度の平らなできものが生じる事があります。これらは老人性のシミともよばれ、額やこめかみに出来る事が多く、頬部や首にまで生じる事もあり、いくつかが癒合すると大きな地図上のシミになります。よく漫画等では老人を表すのに、シワとともに黒いシミを描き加えますが、それがこの脂漏性角化症です。当クリニックではエルマン社製のラジオサージャリー装置を用いて治療を行うと同時に検体の病理学的診断も行っております。
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ボーエン病
こちらも日光角化症に類似の表皮内癌です。ステロイド軟膏を処方されて塗っているのになかなか治らない「湿疹みたいな発疹」はこれを疑う必要があります。治療は日光角化症と同じです。
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日光角化症
頬部や額などに出来る、一見シミに似たで腫瘍です。主にお年を召した方に多くみられ、その名の通り長年の紫外線によるダメージが関係しているようです。その本体は皮膚癌です。ただし、表皮という部分に限局したごく浅い癌ですので、前癌状態とも呼ばれており、生検といって、皮膚の一部を取って顕微鏡の検査により診断します。治療は、まずきちんと取り切る事が重要になります。それが確認されましたら、次に皮膚移植となり、形成外科的手枝が必要になります。
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基底細胞癌
皮膚の悪性腫瘍の一種ですが、遠隔転移をする事は稀であると言われています。従って切除すれば十分に治癒させる事は可能です。しかし局所に再発しやい腫瘍とも言われていますので、十分に取り切る事と、再発を念頭に置いた経過の観察が重要になります。
皮膚の悪性腫瘍は他に有棘細胞がんと言うものがあります。これは基底細胞癌と違い、遠隔転移の可能性があるため、総合病院での治療が望ましい疾患と言えましょう。さらに悪性黒色腫とよばれる、かなり悪性度の高い疾患があります。
一般に、基底細胞がんの場合、ホクロや脂漏性角化症に見た目が似ていますので、実際に切って取った後に病理検査という、専門家による顕微鏡での検査を行って診断を確定し、さらに完全に取り蹴れているかどうかを確認した後に皮膚移植を行います。
悪性黒色腫
一見ほくろのように見えますが、ほくろに比べ不正形で色も均等ではないことが多いようです。診断には先ずダーモスコピーという道具を用いて、おおよそのあたりをつけます。ただしこれだけでは100%の診断を得ることは出来ません。診断そしてその後の治療方針を決めるためには切って取り、顕微鏡で調べなければなりません。調べてみて悪性黒色腫の診断がつきましたら、早い段階で大きめに取り、「見張り番」リンパ節生検および、必要に応じたリンパ廓清術を行う必要があります。いずれにしましてもクリニックで扱える疾患ではありませんので、ダーモスコピーで疑わしい所見があった場合は総合病院にご紹介いたします。
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