デュプイトラン拘縮(1)
どんな症状?
「手の平にしこりが出来た」「手の平が硬い」「手の平がひきつれる」「手の平の索状物」「手の平にスジが浮き立つ」「だんだん指が曲がってきた」「指が伸びない」等の訴えで来院される方が多い疾患です。
どうして起こるの?
この病気は、手の平の皮膚の直下にある「手掌腱膜」と呼ばれる膜状の組織が、堅く肥厚して収縮することによって起こります。
「手掌腱膜」とは?
手掌腱膜は、手首から指にかけて広がっている扇状の膜組織で、手首のところがちょうど扇の要のようになって、長掌筋と呼ばれる筋肉の腱につながっています。
手掌腱膜の働きは、簡単に言いますと手の平の皮膚をしっかりと固定する事です。皆さんがものを握ったり持ち上げたりするときに、もしも手の平の皮膚が柔らかくて可動性に富んでいるとすると,しっかりとした把持が出来なくなります。そこで手の平をしっかりと固定するためにこの手掌腱膜からは皮膚に向かって、垂直に何本もの繊維が伸びています。
デュプイトラン拘縮とは
この手掌腱膜が部分的に固くなって縮む、即ち拘縮を起こす疾患がデュプイトラン拘縮です。手掌腱膜が手首から指に向かって広がっていることは先述しましたが、特にそれぞれの指に向かう部分の密度が高くなっています。そのためデュプイトラン拘縮は指の数だけ起こる可能性がありますが、一般的には2本から3本の指に起こることが多いようです。
実際の症状
最も初期は手の平の硬いしこりが触知されます。
このしこりは次第に索状物として触れるようになり、その頃から指を伸ばすときに突っ張るようになります。
さらに症状が進行するにつれ、指を完全に伸ばすことが出来なくなり、この状態を長期的に放置しておくと関節自体が固まって伸びなくなってきます。
固まった関節を柔らかくすることはとても難しいため、こうならないうちに治療をすることが重要です。
治療
現在、手術による治療が一般的です。
次回はデュプイトラン拘縮の手術治療について説明したいと思います。