グロムス腫瘍

グロムス腫瘍の特徴は痛みです。そして、発生場所の多くは爪の下で、指の腹側に出来る事もあります。爪の下や指腹の深い部分に、少し触っただけでも痛い腫瘍が出来ていたら、まずは、グロムス腫瘍を疑ってみてもいいと思います。

この痛みは特に冷たいときに強まる傾向がありますので、冬場や水仕事の際に痛む事が多いようです。爪の下に出来た場合は、やや紫がかったピンク色の腫瘍を爪の表面から透見出来る場合がありますが、小さい場合や指腹に出来た場合は確認する事が困難な場合も珍しくはありません。痛み等の症状があり、肉眼で腫瘍の確認が出来ない場合はMRIを撮影して診断する事もあります。治療法は手術によって摘出する以外にありません。

爪の下のわずかな青みが見えることがありますが、ほとんど分からないことも多いです。

グロムス腫瘍の詳細

「爪に物が当たると激痛が走る。冷たい水に触ると同じように痛む。」このような状態が長年続き悩んでおられる方も多いと思います。

そのような方は、先ず爪の甲をよく見てください。爪の甲は一般的には乳白色からピンク色をしていますが、その中に一点青みがかった場所が見える事があります。この場合はグロムス腫瘍が疑われます。

グロムス腫瘍とは、グロムス器官と呼ばれる血管の一種であり、血流を調節している組織から発生する良性腫瘍です。このグロムス器官は主に手足の指にあることが多く、血流の調節を行うことによって皮膚温の調節を行っています。

話は変わりますが、ここで血流の役目について考えてみたいと思います。先ず思い浮かぶのは呼吸によって取り込まれた酸素を体の隅々まで運び、代謝によって生じた二酸化炭素を集めて肺から排泄することでしょう。これは欠かすことの出来ない重要な役目ですが、もう一つ重要なことに体温の調節機能があります。

たとえば手指を考えてみます。各々の指には大人の場合2mm程の動脈が2本あり、かなりの血流が供給されていますが、指自体には最も酸素を消費する器官である筋肉がありませんので(手掌にはあります)酸素の消費量は多くありません。ではその血流は何のためにあるかというとほとんどが指の温度を保つためにあります。そして、その血流を血管のネットワークの末梢の部分で調整しているのがグロムス器官です。

話を戻します。臨床症状でグロムス腫瘍が疑われた場合、当院では全例MRIの撮影をお願いしております。このMRIによってグロムス腫瘍が確認されて初めて手術と言うことになります。症状はまさににグロムスのようだがMRIを撮影してみると何も無いと言うことが稀にありますので、闇雲に手術をするのは避けるべきだと考えています。

MRIも撮り、グロムス腫瘍が強く疑われるとなった場合、手術を行います。
当院での手術はすべて日帰りの外来手術です。予定時刻の15分ほど前に来院していただき、手術室で手術を行い、お帰りいただくまでに1時間かかりません。

麻酔は局所のブロック注射と言う方法を用いますので、腫瘍のある指だけが無痛になります。術後患指にはしっかりと包帯を巻きますが、他の指は動かせますので日常生活にそれほど障害になることは無いと思います。

この手術の一つの特徴に術後の疼痛があり、長い場合1ヶ月以上続くこともあります。

また、術後爪の変形が残ってしまうこともあります。

当院ではできる限り術後の変形が起こらないように心がけてはいますが、場所によってはどうしても避けられない場合があります。

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