ヒキツレ(拘縮)の治療

瘢痕拘縮(傷跡のヒキツレ)

瘢痕拘縮とは簡単に言いますと傷跡による、ヒキツレを意味します。傷は治るときには必ず瘢痕組織という物になります。これがいわゆる傷跡です。この瘢痕組織が出来るときにキズが収縮する性質があるため、傷跡のヒキツレが起こります。このヒキツレが例えば腹部などの広い部分にあった場合はさほど問題になりませんが、手の指関節などをまたいでいる場合、関節の動きに障害が出ます。また、例えば顔の傷跡がまぶたなどにかかっている場合、そのヒキツレによってまぶたの変形生じます。これら瘢痕のヒキツレによって形態あるいは機能的な障害が生じている場合を瘢痕拘縮と言います。

瘢痕拘縮を治療する方法は手術しかありません。手術はZ形成術W形成術、時には局所皮弁動脈皮弁遊離皮弁などの方法を利用して治療を行います。

デュプイトラン拘縮

手の平の皮膚が固まって丸くしこりのようになったり、手の平の皮膚のすぐ下に帯状の固いしこりが触れるようになり、指を伸ばすとそのしこりの部分が引き連れて伸びにくくなったりする病気です。

その原因は「手掌腱膜」と呼ばれる部分が増殖して、しこりやヒキツレを起こす事によります。この手掌腱膜という組織は手の平の皮膚の直下にあって、手で物をつかむときに皮膚がずれないように支える役割をしています。そして重症のデュプイトラン拘縮の場合は、さらに手掌腱膜から伸びる線維組織が指の方にまで伸び、指から手の平にかけてまでの線状のヒキツレを起こす事があります。このようになってしまうと、指はヒキツレのため伸ばす事が出来なくなり、この状態を長く放っておく指の関節自体が固まってしまうため治療は非常に困難になります。そのため、先の症状により指の伸ばしが不自由に感じられたらば、出来るだけ早く相談される事が肝要です。

この疾患に対する治療方法もまた、手術によるしかありません。手術ではまず固く引きつれシコリになった手掌腱膜の部分を切除します。その上で瘢痕拘縮の治療の所で書いた皮膚の縫合法移植術を利用して皮膚をふさぎます。