腱鞘炎(3)〜指の腱鞘炎〜

指の腱鞘炎

前回は手首の腱鞘炎についてご説明しました。一方、腱鞘炎と言うと皆さん「指のこと」を思い浮かべることと思いますが、はやはり最も多いの指の腱鞘炎でだと思います。

症状

意外とバリエーションがあります。

先ず一番多いのがバネ現象です。良く「ばね指」とよばれていますが、指を曲げると曲がったまま伸びなくなり、無理に伸ばそうとすると「カクッ」と伸びます。特に朝方に顕著で、昼間はこの現象が見られなくなることも良くあります。

ばね指になった方は、先から二番目の関節(PIPJ:近位指間関節)が引っかかると仰る事が多いようですが、原因は指の付け根のA1プーリーという部分で起こります(後述)。

最初の頃はバネ減少に伴う痛みはさほど無いようですが、病状の進行に伴って引っかかりを伸ばすときにかなりの痛みを伴うようになります。
また、症状が進行しますとPIPJが曲がって伸びにくくなります。この関節は腱鞘炎の初期、バネ現象が見られないのに痛むことがあり、その場合A1プーリーの部分の圧痛を伴うこともあります。

それから、同じくバネ現象は見られないのですが、指を握ったり開いたりすると何となく抵抗がある、つまり「こわばり」がある場合も腱鞘炎の初期症状のことがあります。

腱鞘炎の仕組み

指の解剖の模式図図は指の解剖の模式図です。鶯色に塗ってあるところは腱を表します。黄緑と青で塗ったところは腱鞘を表します。腱鞘の中で最も中枢に近い部分(図では黄緑)がA1プーリーとよばれるところです。プーリーというのは「滑車」を意味します。指で滑車というのも変なのですが要はその部分で力の方向が変わるポイントだと思ってください。

そして、指の腱鞘炎が起こる主なポイントはA1プーリーの部分が大多数です。この場所の機械的摩擦が炎症となって症状を起こすのが腱鞘炎です。

腱鞘炎の画像診断

腱鞘炎の画像診断

当院では腱鞘炎を疑う場合、全例超音波による診断を行っています。超音波で見ますと図のように腱が肥厚している場合や、腱鞘が肥厚している場合などがありますが、いずれにしても指を動かしたときの動きがスムースでは無いことが多いようです。

今日の一枚


IMG_0422